缶子
かんす
名詞
標準
文例 · 用例
その国のドルイド教の僧輩反抗もっとも烈しかったので尊者やむをえずその沃野を詛うてたちまち荒れた沼となし川を詛うて魚を生ぜざらしめ缶子を詛うていくら火を多く焼いても沸かざらしめ、ついにかの僧輩を詛うて地中に陥り没せしめた。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
自分が今五寸ばかり雨戸を開けて、小ひさい身體を斜めに忍び込んだところから射す星明りに、茶箪笥や火桶や鑵子が、晝間の通り正しく位置してゐるのを知つただけで、人間の姿は何處にも見えなかつた。
— 上司小劍 『石川五右衞門の生立』 青空文庫
しかし今かうやつて、深夜に此處へ忍び込んでゐると、茶箪笥や火桶や鑵子に、一つ/\皆息が通つて生きてゐるのではないかと思はれた。
— 上司小劍 『石川五右衞門の生立』 青空文庫
殊に鑵子なんぞは、今にも足が生え、尻尾が出來て、むく/\と歩き出しさうな風に見えた。
— 上司小劍 『石川五右衞門の生立』 青空文庫
鑵子に足が出來て、羊羮に羽根が生えて、歩いたり飛んだりしたらどうであらう。
— 上司小劍 『石川五右衞門の生立』 青空文庫
聲ばかり聞かされて、姿の見えぬ時鳥のやうな和尚さんは、何處に居るのか、さう思つて、キヨロ/\と、暗い中を見※したが、茶箪笥、火桶、鑵子、それ等のものよりほかに何もなかつた。
— 上司小劍 『石川五右衞門の生立』 青空文庫
鑵子に足が生えて、動き出すより前に、雨戸が獨りで敷居の溝を滑つたのかと、驚きの眼を瞠つてゐると、流れ星の光りが深い軒を掠めて飛んだのとともに、白い布を頭から被つて、其の端を口に銜へた一つの人影が、すうつと縁側へ上つて來た。
— 上司小劍 『石川五右衞門の生立』 青空文庫
お兼は母の意を受けて鑵子に水をさし、薪を添へた。
— 若山牧水 『姉妹』 青空文庫