燃え頻る
もえしきる
動詞
標準
文例 · 用例
北欧風の、色は渋いが縞の荒い男ものゝガウンを着た先生は、わたくしに並んで炉べりに雄偉な両脚の膝を立て、膝頭を両手で抱えてしばらく炉の中に燃えしきる白樺の薪の焔に見入っていました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
私が若し描くんなら燃えしきる焔の上に座って室咲の花に取り巻かれて居るのを描く。
— 宮本百合子 『千世子(三)』 青空文庫
その中で聞えるものは、唯、空をどよもして燃えしきる、万丈の焔の響ばかりでござる。
— 芥川龍之介 『奉教人の死』 青空文庫
中でも殊に空恐ろしく思われたのは、ある女房の夢枕に、良秀の娘の乗ったような、炎々と火の燃えしきる車が一輛、人面の獣に曳かれながら、天から下りて来たと思いますと、その車の中からやさしい声がして、「大殿様をこれへ御迎え申せ。
— 芥川龍之介 『邪宗門』 青空文庫
バクスターは燃えしきるかれ枝を手に取って動物の群れに投げこみ、その光で周囲をじっと見つめた。
— 佐藤紅緑 『少年連盟』 青空文庫
「いいよ、いいよ、自分でするから」 と女中を帰した後で、冷えた盃を持ったままメラメラと燃えしきるストーヴの焔を眺めながら、通り魔のような夜前の出来事を考えていると、「世の中なんて、何時どんな災難が降って湧くかわからないものねえ、やっぱりあたし、東京へなんか行って出世してもらわなくてもいいわ。
— 橘外男 『生不動』 青空文庫