不心得
ふこころえ
名詞形容動詞
標準
indiscretion
文例 · 用例
これも当代世相レビューの一景と思えば面白くもあったが、天下の早慶戦の日に落着いて連句などを作ろうとするものの不心得を自覚したので、ふと思い付いて二人で東宝劇場へ出かけることにした。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
息も吐かぬ間に骰子を掏り換えて、何の事もない愛嬌笑いにして見せると言う……おかげで蔵元屋の毎晩の上り高は大したものであろうが……これと申すもモトを質せばお熊さんの両親の不心得から起ったことで、お熊さんには何の罪も科もないこと。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
これ丈の迷惑を誰が国家にかけたかと云へば、無論被告の不心得からである。
— 平出修 『公判』 青空文庫
赤蜻蛉 一昨年の秋九月――私は不心得で、日記と言ふものを認めた事がないので幾日だか日は覺えて居ないが――彼岸前だつただけは確だから、十五日から二十日頃までの事である。
— 泉鏡太郎 『番茶話』 青空文庫
……いやしくも温泉場において、お客を預る自動車屋ともあるものが、道路の交通、是非善悪を知らんというのは、まことにもって不心得。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
鎌倉街道よりはわきへそれ、通りすがりの打見には、橿原の山の端にかくれ、人通りしげき葉山の路とは、方位異なり、多くの人は此の景勝の霊地を知らず、小生も久しく不心得にて過ぎ申候。
— 泉鏡花 『逗子より』 青空文庫
いや、ようなんですぐらいだったら、私もかような不埒、不心得、失礼なことはいたさなかったろうと思います。
— 泉鏡花 『革鞄の怪』 青空文庫
吟味与力は罪人をよび出して今日はいよいよ拷問を行うぞという威嚇的の警告をあたえ、なるべくは素直に自白させるように努めるのであるが、それでも本人があくまでも屈伏しない場合には、係り役人は高声にかれの不心得を叱りつけて、さらに初めて拷問に着手するのである。
— 岡本綺堂 『拷問の話』 青空文庫