腑甲斐無い
ふがいない
形容詞
標準
文例 · 用例
時には自分で腑甲斐無いと思えば思うほど「ええ、何もかもおしまいだ、姫と駆落でもしてしまおう」こんな反動的な情火がむらむらと起るので、自分ながら危なくて仕様がありません。
— 岡本かの子 『鯉魚』 青空文庫
お前は俺を馬鹿で腑甲斐ないと思っている。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
「誰しもはじめは、お手本に拠って習練を積むのですが、一個の創作家たるものが、いつまでもお手本の匂いから脱する事が出来ぬというのは、まことに腑甲斐ない話であります。
— 太宰治 『芸術ぎらい』 青空文庫
誰しもはじめは、お手本に拠って習練を積むのですが、一個の創作家たるものが、いつまでもお手本の匂いから脱する事が出来ぬというのは、まことに腑甲斐ない話であります。
— 太宰治 『風の便り』 青空文庫
常に労働者と鼻突きあわして住み、また農産物高の半面、増税と嵩ばる生活費に、農産物からの増収を吐き出して足りない百姓の生活を目撃している者には、腑甲斐ない話だとそれは嘆ぜられるのだ。
— 黒島傳治 『田舎から東京を見る』 青空文庫
私は腑甲斐ない一人の私を、人里離れた山中へ遺棄してしまったことに、気味のいい嘲笑を感じていた。
— 梶井基次郎 『冬の蠅』 青空文庫
しかし慧鶴は兼て覚悟のことでもあるし、また、ともすれば清水のことが想い出される腑甲斐ない心を何かの強い刺戟で眼の前の境遇に釘付けにして貰うことは、寧ろ必要とするところでもあったので、笞を嬉ぶ贖罪者の気でじっと辛抱して勉強した。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
たゞ腹の中で、これしきの女の云ふ事を、明瞭に批評し得ないのは、男児として腑甲斐ない事だと、いたく赤面した。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫