蠑螺
蠑螺
名詞
標準
文例 · 用例
元祖本家黒焼屋の津田黒焼舗と一切黒焼屋の高津黒焼惣本家鳥屋市兵衛本舗の二軒が隣合せに並んでいて、どちらが元祖かちょっとわからぬが、とにかくどちらもいもりをはじめとして、虎足、縞蛇、ばい、蠑螺、山蟹、猪肝、蝉|脱皮、泥亀頭、※手、牛歯、蓮根、茄子、桃、南天賓などの黒焼を売っているのだ。
— 織田作之助 『大阪発見』 青空文庫
彼は肴屋に蠑螺を一籠誂え、銀子を促した。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
蠑螺や蛤なども目についた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
その盤台のかげの方に大きい蠑螺や赤貝の殻が幾つもころがっているのが、彼の眼についた。
— 弁天娘 『半七捕物帳』 青空文庫
なかなか大きい貝だと思いながら、彼は立ち寄ってその一つ二つを手に把ってみると、貝はいずれも殻ばかりで、その中の最も大きい蠑螺はうつ伏せになっていた。
— 弁天娘 『半七捕物帳』 青空文庫
その蠑螺の尻をつかんで引っ立てようとすると、それはひどく重かった。
— 弁天娘 『半七捕物帳』 青空文庫
いや、実におそろしい奴で、こんな女に出逢ってはたまりません」「それでもお留は素直に白状したんですね」「自身番から帰って来たところをつかまえて詮議すると、初めは勿論しらを切っていましたが、蠑螺の殻と金包みとをつきつけられて、一も二もなく恐れ入りました。
— 弁天娘 『半七捕物帳』 青空文庫
彼女は、その封筒の端をソツと、醜い蠑螺の尻尾をでも握るやうに、摘み上げながら、父の部屋へ持つて行つた。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫