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得恋

とくれん
名詞
1
標準
文例 · 用例
このことは、僕に対して得恋者たる君にもはっきりわかることであろうと思う。
小酒井不木 ある自殺者の手記 青空文庫
ただ得恋者は、何ゆえに失恋者が自殺する気になるかという、その心持ちをはっきり理解し得ないと思う。
小酒井不木 ある自殺者の手記 青空文庫
実際|此の失恋でもない、況んや得恋でもない、謂はゞ無恋の心もちが、一番悲惨な心持なんだ。
久米正雄 良友悪友 青空文庫
この得恋の苦しみ(まだ得恋には至らなかつたが、私にとつてはすでに得恋の歓喜であつた)は、私の始めての経験だから、これは私の初恋であつたに相違ない。
坂口安吾 二十七歳 青空文庫
然し、この得恋の苦しみ、つまり恋を得たゝめに幾度かゞ眠り得なかつた苦しみは、その後も、別の女の幾人かに、経験し、先ほどの二人の女のいづれにも、その肉体を始めて得た日、そして幾夜か、睡り得ぬ狂気の夜々があつた。
坂口安吾 二十七歳 青空文庫
得恋は失恋と同じ苦痛と不安と狂気にみちてゐる。
坂口安吾 二十七歳 青空文庫
初恋だけがそうなのではなく、何度目の恋でも、恋は常にそういうもので、得恋は失恋と同じこと、眠れなかったり、死ぬほど切なく不安であったりするものだ。
坂口安吾 恋愛論 青空文庫
人は捨てられた一方に同情して捨てた一方を憎むけれども、捨てなければ捨てないために、捨てられた方と同価の苦痛を忍ばねばならないので、なべて失恋と得恋は苦痛において同価のものだと私は考えている。
坂口安吾 恋愛論 青空文庫