産衣
うぶぎ
名詞
標準
文例 · 用例
北さんも中畑さんもよろこんで、立派な産衣を持って来て下さった。
— 太宰治 『帰去来』 青空文庫
古い達磨の軸物、銀|鍍金の時計の鎖、襟垢の着いた女の半纏、玩具の汽車、蚊帳、ペンキ絵、碁石、鉋、子供の産衣まで、十七銭だ、二十銭だと言って笑いもせずに売り買いするのでした。
— 太宰治 『老ハイデルベルヒ』 青空文庫
それでなくても乏しかった衣類の、大半を、戦火で焼いてしまったので、こんど生れる子供の産衣やら蒲団やら、おしめやら、全くやりくりの方法がつかず、母は呆然として溜息ばかりついている様子であるが、父はそれに気附かぬ振りしてそそくさと外出する。
— 太宰治 『父』 青空文庫
別れて、病院へ戻ると、夜、君枝は次郎の寝台の傍で産衣を縫うた。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
男なら一服吸うてというところを、その足で直ぐ病院へ戻り、夜、次郎の寝台の傍で産衣を縫うた。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
入って行くと、子供は産衣そのままの姿で、蚤を避けるために、風通しのよい窓の側に取り出した一閑張りの広い机のうえに寝かされてあった。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
この世に生れ出て、産衣を着せられると同時に、今日までにわたって加えられた外界の圧迫から、お前は今始めて自由になることが出来る。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫
利章が生れた時に先代の主人筑前守長政は守、脇差、産衣、樽肴を父利安に贈られた。
— 森鴎外 『栗山大膳』 青空文庫