炉前
ろまえ
名詞
標準
文例 · 用例
部屋をぐるぐる見まわしているうちに、とうとう僕の眼は、暖炉前飾の真ん中辺のすぐ下のところにある真鍮の小さなツマミから、よごれた青いリボンでぶら下げてある、安ものの、見かけばかりのボール紙製の名刺差しにとまった。
— THE PURLOINED LETTER 『盗まれた手紙』 青空文庫
煖炉前飾は広くて高く、表に時計とキャベツとが彫ってあるばかりではなく、中央の上の方に大きくかちかち音をたてる本物の時計があり、両端には従者としてキャベツを植えた植木鉢がある。
— THE DIVIL IN THE BELFRY 『鐘塔の悪魔』 青空文庫
家具に彫刻してある時計はまるで魔法にでもかかったように踊り始め、煖炉前飾の上にある時計は腹が立つのを抑えることができず、ほんとうに見るも怖ろしいくらいに、十三をしきりに打ち続けたり、振子を跳ね廻しのたうち廻したりした。
— THE DIVIL IN THE BELFRY 『鐘塔の悪魔』 青空文庫
子爵と喋りながら、暖炉前のぽかぽかする場所から何心なく室内の装飾を眺めていた日下部太郎は、ふと側棚にある一枚の皿に目がとまると、覚えず眼を瞠って椅子からのり出した。
— 宮本百合子 『伊太利亜の古陶』 青空文庫
さしずめこれは名誉表というわけですか」 彼等は程なく、元の煖炉前の席に戻った。
— 宮本百合子 『伊太利亜の古陶』 青空文庫
父の祝いのためと思って買って来た黄色と白のバラの花を、伸子ははりあいの失われた気持でカット・グラスの花瓶にさし、それを父のどてらが置いてある煖炉前の小卓の上に飾った。
— 宮本百合子 『二つの庭』 青空文庫
「――もうすむでしょう」 保は黙って視線をそらせ、煖炉前のバラの花を見た。
— 宮本百合子 『二つの庭』 青空文庫
けれども泰造が煖炉前の天井についている灯を見つめながら、複雑な心もちでしんみりとそれをいっている様子はまざまざとわかった。
— 宮本百合子 『二つの庭』 青空文庫