有り様
ありさま
名詞
標準
文例 · 用例
一九七〇年代に入り、時代の熱が急に冷めていく有り様を見送っていた彼は、高校卒業後、財産の私有を否定して一体の集団生活を送る山岸会に活路を求めます。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫
」 これが芭蕉の眼に映じた飯塚辺の農家――たぶん農家だろうと思いますが――の有り様であります。
— 佐左木俊郎 『文学に現れたる東北地方の地方色』 青空文庫
そのような、貧しい農家の有り様は、今にして、東北地方の暗鬱な空気が感じられます。
— 佐左木俊郎 『文学に現れたる東北地方の地方色』 青空文庫
宝石の身体に金銀の羽根を持った鳥や虫、または何とも云いようのない程美事な月の御殿の中の有り様や、そこに大勢の獣や鳥を連れて迎えに出て来た美しいお姫様の姿なぞが、ズンズン眼の前に近づいて来ました。
— 夢野久作 『奇妙な遠眼鏡』 青空文庫
けれども手職が出来たらしい割りにお客の取り付きがわるく、最初に生れた男の子の久禄というのは生涯音信不通で、六ツの年に他家へ遣るという有り様であった。
— 夢野久作 『あやかしの鼓』 青空文庫
見る間に電車や自動車が畳み重なって、盛にベルや笛を鳴らして催促をする有り様は、見たばかりでも神経衰弱の種である。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
東京の悪道路の事は前に書いたが、それだけに自動車や電車のわるくなり方も甚だしいと見えて、さなきだに八釜しい往来が一層烈しくドヨメイて、肩を並べながら話しも出来ない有り様である。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
そうじゃなくって」「そりゃね、いくぶんそれは認められるけれど……」「ああ、なんてしみったれな仰有り様でしょうか。
— 海野十三 『海底都市』 青空文庫