饋線
きせん
名詞
標準
文例 · 用例
御最後川の岸辺に茂る葦の枯れて、吹く潮風に騒ぐ、その根かたには夜半の満汐に人知れず結びし氷、朝の退潮に破られて残り、ひねもす解けもえせず、夕闇に白き線を水ぎわに引く。
— 国木田独歩 『たき火』 青空文庫
私語くごとき波音、入江の南の端より白き線立て、走りきたり、これに和したり。
— 国木田独歩 『たき火』 青空文庫
その一つ開きしままに置かれ、西詩「わが心|高原にあり」ちょう詩のところ出でてその中の『いざさらば雪を戴く高峰』なる一句赤き線ひかれぬ。
— 国木田独歩 『星』 青空文庫
一声高く咆哮しておどり上がりおどり上がると、だだっ子の兵児帯がほどけるように大蛇の巻き線がゆるみほぐれてしまう。
— 寺田寅彦 『映画「マルガ」に現われた動物の闘争』 青空文庫
で、若し運命を牽き動かす可き線條があるならば、人力を以て其の幸運を牽き來り招き致しさへすれば宜いのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
これは即ち好運を牽き出し得べき線は、之を牽く者の掌を流血淋漓たらしめ、否運を牽き出すべき線は、滑膩油澤なる柔軟のものであるといふ事實である。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
一九〇五年、アメリカのGEで押し出し式のタングステン線が発明され、一九一〇年には引き線タングステン線技術が誕生。
— 富田倫生 『青空のリスタート』 青空文庫
幾何の説明をやる時に、どうしてもいっしょになるべき線が、いっしょにならないで困った事がある。
— 夏目漱石 『永日小品』 青空文庫