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来馴

らい馴
名詞
1
標準
文例 · 用例
吾人は生れ落ちて以来馴れ切っている周囲に対して、ちゃんと定まった、しかも極めて便宜的な型や公式ばかりを当て嵌めている。
寺田寅彦 津田青楓君の画と南画の芸術的価値 青空文庫
」 で、引返して行く女中のあとへついて、出しなに、真中の襖を閉める、と降積る雪の夜は、一重の隔も音が沈んで、酒の座は摺退いたように、ずッと遠くなる……風の寒い、冷い縁側を、するする通って、来馴れた家で戸惑いもせず、暗がりの座敷を一間、壁際を抜けると、次が玄関。
泉鏡花 第二菎蒻本 青空文庫
新次はしょっちゅう来馴れていて、二つ井戸など少しも珍らしくないのでしょう、しきりに欠伸などしていたが、私はしびれるような夜の世界の悩ましさに、幼い心がうずいていたのです。
織田作之助 アド・バルーン 青空文庫
いつも来馴れたものはヨーロッパも早や何の刺戟にもならず、あのように悠然と出来るものかと矢代は思いながら、身についた船長の紳士姿を羨しく眺めて放さなかった。
横光利一 旅愁 青空文庫
内海が来馴れた者らしい風で、どこか見えないところについている呼鈴を鳴らした。
宮本百合子 道標 青空文庫
来馴致された作家横光の読者といえども、知性を抹殺する知性の遊戯を快く受ける迄に、虚脱させられていないのである。
――横光氏の「厨房日記」について―― 「迷いの末は」 青空文庫
広い焼け跡のなかに、細川の家の跡は、度々来馴れた場所のこととて、すぐに見当がつきました。
――近代説話―― 白藤 青空文庫
平素来馴れた家ではあるけれども、居るべき人々が居なくてひっそりしてるので、初め彼は旅にでも出たような気がした。
豊島与志雄 反抗 青空文庫