引き具
ひきぐ
名詞
標準
文例 · 用例
八尺なす桶のここだく、新しぼりしたたる袋、庭広に干しも列ぬと、咽喉太の老いしかけろも、かうかうとうちふる鶏冠、尾長鳥垂り尾のおごり、七妻の雌をし引き連れ、七十羽の雛を引き具し、春浅く閑かなる陽に、うち羽ぶき、しじに呼ばひぬ。
— 北原白秋 『海阪』 青空文庫
隊長らしいあのいち人が目配せもろ共さッと一同を引き具して主水之介の身辺近くに殺到すると、突然鋭く叫んで言いました。
— 仙台に現れた退屈男 『旗本退屈男 第七話』 青空文庫
もちろん、右門をあんなふうに酒でころして物置き小屋に閉じこめたのは、早くも事露見と知ったものでしたから、持って生まれた淫婦の腕によりをかけてかようにたぶらかし、そのまに少年を引き具していちはやく新規八百石を完全に手中しようとしたからの小しばいにすぎなかったのでした。
— 青眉の女 『右門捕物帖』 青空文庫
すなわち、南北両|奉行所配下の与力同心たちがそれぞれ手下の小者どもを引き具して、万一の場合のご警固を申しあげるという順序でした。
— 笛の秘密 『右門捕物帖』 青空文庫
直接、奉行に出馬のお許しを願ったとみえて、ゆうぜんと構えている名人右門をしり目にかけながら、手下の小者を引き具して、これ見よがしにもう駆けだしました。
— 闇男 『右門捕物帖』 青空文庫
二階には、この祖父江出羽守を仇敵と狙う伴大次郎が、ものの半月も滞在していて、階下の座敷には、こうしてその当の出羽守が、遊び仲間のような取りまき連中を引き具して泊っている。
— 林不忘 『煩悩秘文書』 青空文庫
風のように随所随所に現われて二刀を狙う五梃駕籠と、豆太郎を引き具してそれを助ける小野塚伊織の弥生。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
そこで、彼は、妻子家来を引き具して、白昼、修理の屋敷を立ち退いた。
— 芥川龍之介 『忠義』 青空文庫