狐色
きつねいろ
名詞
標準
文例 · 用例
稲荷様のは狐色と申すではないけれども、大黒天のは黒く立ちます……気がいたすのでございます。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
窓向うの壁がかぶりつきたいほどうまそうな狐色に見えた。
— 岡本かの子 『売春婦リゼット』 青空文庫
渇の止まると共に次には飢の苦、あゝ此樣な事と知つたら、昨夜海中に飛込む時に、「ビスケツト」の一鑵位いは衣袋にして來るのだつたにと、今更悔んでも仕方がない、斯うなると昨夜の暖な「スープ」や、狐色の「フライ」や、蒸氣のホカ/\と立つて居る「チツキンロース」などが、食道の邊にむかついて來る。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
醤油をたっぷりつけて狐色にこんがり焼けてふくれているところなぞ、いかにもうまそうだったが、買う気は起らなかった。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫
笈摺も古ぼけて、旅窶れのした風で、白の脚絆も埃に塗れて狐色になっている。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
其の奥の方に障子に映した火光が狐色になツて見えた。
— 三島霜川 『昔の女』 青空文庫
その犬の狐色の尨毛や、鼻頭の斑点などが、細君の目にも見覚えがあった。
— 徳田秋声 『爛』 青空文庫
跡は小屋も畑も霜のために白茶けた鈍い狐色だった。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫