痛々
痛々
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文例 · 用例
芸術家の心理を理解しない、世間の一般人の眼から見たら、文学者がこんな動機で自殺するなんていうことは、滑稽に類する馬鹿気たことに思われるかも知れないが、僕らの同じ仲間には、そうした気持ちの痛々しさが、同情によって充分によく解るのである。
— 萩原朔太郎 『老年と人生』 青空文庫
悲壮な、痛々しい、骨の鳴るような人生が、一本の枯木を通して、蕭条たる自然の背後に拡がって行く。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
もっとも、痛々しいという感じは、特に私ひとりだけに強く響いたものかも知れない。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
というわけは、この先生は、その講義に於いてずいぶんご自分の言葉使いに気をくばっておいでの様子で、私もまた自分の言葉の田舎訛りにはかねがね苦労させられているので、他人のそんな気持には敏感に同情できて、そのせいもあって、特に痛々しいなどと感じたのかも知れなかった。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
リリシズムの野を出でて、いばらに裂かれた傷口に布をあてずに、あらわに、陽にさらしている、痛々しさを感じてならない。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
関東地震や北伊豆地震のときに崩れ損じたらしい創痕が到る処の山腹に今でもまだ生ま生ましく残っていて何となく痛々しい。
— 寺田寅彦 『箱根熱海バス紀行』 青空文庫
「あ、痛、」 と横に身を反らして、泣声になって、「酷、酷うござんすね……旦那、ア痛々、」 も一つ拳で、勝誇って、「酷いも何も要ったものか。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
お千は、それよりも美しく、雪はなけれど、ちらちらと散る花の、小庭の湿地の、石炭殻につもる可哀さ、痛々しさ。
— 泉鏡花 『売色鴨南蛮』 青空文庫