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老職

ろうしょく
名詞
1
標準
文例 · 用例
かの陳和卿はその後、生死のほども不明でございまして、まさか、日野外山に庵を結んで「方丈記」をお書上げになつたといふやうな話も聞かず、やつぱり、ただやたらに野心のみ強く狡猾の奇策を弄して権門に取入らんと試みた、あさはかな老職人に過ぎなかつたやうに思はれます。
太宰治 右大臣実朝 青空文庫
無学な老職人に意見せられて涙を流した事だってある。
太宰治 親友交歓 青空文庫
田口というは昔の家老職、城山の下に立派な屋敷を昔のままに構えて有福に暮らしていましたので、この二階を貸し、私を世話してくれたのは少なからぬ好意であったのです。
国木田独歩 春の鳥 青空文庫
それが拓本老職人の古風な着物や袴を仕立て直した衣服を身につけて座を斡旋するさまも趣味人の間には好もしかった。
岡本かの子 食魔 青空文庫
京都に一人残っている生みの母親、青年近くまで養ってくれた拓本の老職人のことも心にかからないことはないけれども、鼈四郎の現在のような境遇には、彼等との関係はもとからの因縁が深いだけに、それを考えに上すことは苦しかった。
岡本かの子 食魔 青空文庫
一座の老職顏見合せ、年紀恥かしく思ひしとぞ。
泉鏡太郎 十萬石 青空文庫
既に去る寛保年中、一時の窮を救はむため、老職の輩が才覺にて、徳川氏より金子一萬兩借用ありしほどなれば、幼君御心を惱ませ給ひ、何とか家政を改革して國の柱を建直さむ、あはれ良匠がなあれかしと、あまたある臣下等に絶えず御眼を注がれける。
泉鏡太郎 十萬石 青空文庫
然るに御老職末席なる恩田杢殿方は一家内能く治まり、妻女は貞に、子息は孝に、奴婢の輩皆忠に、陶然として無事なること恰も元日の如く暮され候。
泉鏡太郎 十萬石 青空文庫