沽
沽
名詞
標準
文例 · 用例
芝居の作用とは、どういう意味か解しかねるが、僕のような若輩から教えられた事をそのまま言うのは、沽券にかかわると思って、とっさのうちに芝居の作用という珍奇な言葉を案出して叫んだのではないかと思われる。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
立て込んだ客の隙間へ腰を割り込んで行くのも、北新地の売れっ妓の沽券に関わるほどではなかった。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫
乃ち陽に遼東を征するを令して、徐凱をして備えざらしめ、天津より直沽に至り、俄に河に沿いて南下するを令す。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
縱ひ羅馬わたりに持ち往きて沽らんとし給ふとも、盾銀一つ出すものだにあらじ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
彼女は自分の美徳を認めるものが現われ出るまで、それを沽ろうと企てたことが嘗てない。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫
沽ろうとした瞬間に美徳が美徳でなくなるという第一義的な真理を本能の如く知っているのは彼女だ。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫
いやしくもおまえさんが押しも押されもしない書画屋さんである以上、書画屋という商売にふさわしい見識を見せるのが、おまえさんの誉れにもなるし沽券にもなる。
— 有島武郎 『ドモ又の死』 青空文庫
君みたいな芸なし猿に稼がれてちゃ、沽券に係わるよ。
— 水棲人 『人外魔境』 青空文庫