捩じ込み
ねじこみ
名詞
標準
文例 · 用例
」「捩じ込み釘に捩じ止め釘」「船首の材には何を使うな?
— 国枝史郎 『名人地獄』 青空文庫
今日はおれは五円だけ出すから、あとはお前払っとけと萩原はいい、酒後へべれけになった萩原にこれは先刻預かった五円だから持って行け、新宿でまた一杯飲まなければなるまいというと、あ、そうか、五円まだ持っていたかと、五円紙幣をポケットに捩じ込み、また会おうと二人は何時も仲善く別れた。
— 室生犀星 『我が愛する詩人の伝記』 青空文庫
きょうはおれは五円だけ出すからあとはお前払っとけと萩原はいい、酒後へべれけになった萩原にこれは先刻預った五円だから持って行け、新宿でまた一杯飲まなければなるまいというと、あ、そうか、五円まだ持っていたかと五円紙幣をポケットに捩じ込み、また会おうと二人は何時も仲善く別れた。
— ――萩原朔太郎―― 『わが愛する詩人の伝記(三)』 青空文庫
(節子の手から封筒をひったくり、自身の上衣のポケットにねじ込み)僕から、返してやる。
— ―――一幕三場 『春の枯葉』 青空文庫
金内はその日努めて晴れやかな顔をして私宅へ帰り、父はまたすぐ旅に出かける、こんどの旅は少し永いかも知れぬから留守に気を附けよ、とだけ言って、貯えの金子ほとんど全部をふところにねじ込み、逃げるようにして家を出た。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
家に一銭でも大事の日なのに、手箱の底を掻いて一歩金二つ三つ、小粒銀三十ばかり財布に入れて懐中にねじ込み、「お金は少し残して置いた。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
あ、ちょっと、と言って、私は飛鳥の如く奥の部屋に引返し、ぎょろりと凄くあたりを見廻し、矢庭にお膳の寒雀二羽を掴んでふところにねじ込み、それからゆっくり玄関へ出て行って、「わすれもの。
— 太宰治 『チャンス』 青空文庫
とっさに、うまい嘘も思いつかず、私は隣室の家の者には一言も、何も言わず、二重廻しを羽織って、それから机の引出しを掻きまわし、お金はあまり無かったので、けさ雑誌社から送られて来たばかりの小為替を三枚、その封筒のまま二重廻しのポケットにねじ込み、外に出た。
— 太宰治 『父』 青空文庫