破れ笠
やぶれがさ
名詞
標準
文例 · 用例
破れ笠のひさしに手をかけ、元気もなく、ただキョロキョロと道ばかり見廻して来る。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
家々はレンガとモルタルの破れ笠のよう。
— THE INVISIBLE FORCE 『見えざる力』 青空文庫
破れ笠をかむって、竹の杖をついていた。
— 吉川英治 『親鸞』 青空文庫
僧正というからには定めし金襴の袈裟に払子を抱き、威儀作ろった人かと思えば、これはこのまま破れ笠と杖をもたせて、世間の軒端に立たせても、恥かしくないそのままの人だった。
— 円明の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
とはいえ、西も東も分らぬここの川洲だが、どう行ったら、捕吏の眼をのがれえようか」「ご安心な地へ出るまで、てまえが、ご案内いたしましょうが、そのお姿では」 と、男は鮎小屋の内を覗き、破れ笠や、腰蓑などを持ち出して来て。
— みなかみ帖 『私本太平記』 青空文庫
破れ笠を片手に、観音堂の外へ降りた。
— みなかみ帖 『私本太平記』 青空文庫
その右馬介は、尊氏の軍が酒匂の駅に着いた日、「途中、ご出馬と噂をきき、ここにお待ち申しておりました」 と、どこからともなく姿を現わし、彼の前へ来て初めてその破れ笠のひもを解いた。
— 風花帖 『私本太平記』 青空文庫
鞠をついてる手のやうな線、破れ笠でも抛つてゐるやうな點、良寛の書には、いつも大地の草の香と、蒼空とが感じられる。
— 吉川英治 『折々の記』 青空文庫