病み付き
やみつき
名詞
標準
文例 · 用例
書かなくてもよいことを書いては恥を曝す癖のついたのはその頃からの病み付きなのである。
— 寺田寅彦 『高浜さんと私』 青空文庫
そうして、五つ(午後八時)の時計の鳴る頃まで、青柳春之助や鳥山秋作の話をしたのですが、それが病み付きになってしまって、それからはお仙が毎日「しらぬひ譚」のお話をする役目をうけたまわることになりました。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
そこへ博文館の懸賞募集が出ましたので早速投稿した訳ですが、それが二度目にヤットコサと二等に当りましたのが病み付きで、時々|覚束ないものを書かせて頂く事になりました。
— 夢野久作 『涙香・ポー・それから』 青空文庫
法界節の文句通りに仕方がないからネエエ――てんで、月琴を担いで上海にでも渡って一旗上げようかテナ事で、御存じの美土代町の銀行の石段にアセチレンを付けて、道楽半分に買集めていた探偵小説の本だの教科書の貰い集めだのを並べたのが病み付きで、とうとう古本屋になっちまいましてね。
— 夢野久作 『悪魔祈祷書』 青空文庫
珍しい本だと思えば高価そうだし、欲しさは欲しし……店番のオヤジの面ア間抜けに見えるし……てんで、相当お立派な御人格の方がツイ、フラフラとお遣りになるのが病み付きになってダンダン面白くなって来る。
— 夢野久作 『悪魔祈祷書』 青空文庫
天南の家出から落膽して病み付き、藥も碌に服まずに死んだ坊守房子の一週忌が、もう間もなくやつて來ると言つて、老僧は鼻を詰まらせてゐた。
— 上司小劍 『ごりがん』 青空文庫
一度ああいうものに手を出すとそれが病み付きとなって、止められなくなるもんなんでしょうね。
— 大倉※子 『むかでの跫音』 青空文庫
―――「いかで此の人に逢はで止みなんと思ひ迷ひける程に、平中病み付きにけり、さて悩みける程に死にゝけり」と、今昔物語ではそうなっているのである。
— 谷崎潤一郎 『少将滋幹の母』 青空文庫