色見
いろみ
名詞
標準
文例 · 用例
あはれ、妙音海潮音の海の色もこゝに澄み、ふりあふぐ山懐に、一叢しげれるみどりの草の、蛍の光も宿すべく、濡色見えて暗きなかに、山の端分くる月かとばかり、大輪の百合唯一つ真白きが、はつと揺らぎて薫りしは、此の寂さに拍手の、峰にや響き候ひけん。
— 泉鏡花 『逗子より』 青空文庫
右手に提げたる百錬鉄の剣は霜を浴び、月に映じて、年紀古れども錆色見えず、仰ぐに日の光も寒く輝き候。
— 泉鏡花 『凱旋祭』 青空文庫
」「井戸だえ……」 わが顔の色見て取りたり。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
たとえばピアノの鍵盤や、オストワルドの色見本は、言わばそういう方向への最初の試歩である。
— 寺田寅彦 『感覚と科学』 青空文庫
湖上の景色見飽かざる間に彦根城いつしか後になり、胆吹山に綿雲這いて美濃路に入れば空は雨模様となる。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
鬢やや乱れ、うつくしき俤に窶れの色見ゆ。
— 泉鏡花 『多神教』 青空文庫
…… 二 往年、雨上りの朝、ちょうどこの辺を通掛った時、松の雫に濡色見せた、紺青の尾を豊に、樹の間の蒼空を潜り潜り、鵲が急ぎもせず、翼で真白な雲を泳いで、すいと伸し、すいと伸して、並木の梢を道づれになった。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
近よれという色見ゆ。
— 泉鏡花 『誓之巻』 青空文庫