心々
しんしん
名詞
標準
文例 · 用例
他はみな見苦しくも慌て忙きて、あまたの神と仏とは心々に祷られき。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
ここに馬車の休憩所ありて、馬に飲い、客に茶を売るを例とすれども、今日ばかりは素通りなるべし、と乗り合いは心々に想いぬ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
が、引続いた火沙汰のために、何となく、心々のあわただしさ、見附の火の見|櫓が遠霞で露店の灯の映るのも、花の使と視めあえず、遠火で焙らるる思いがしよう、九時というのに屋敷町の塀に人が消えて、御堂の前も寂寞としたのである。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
弾丸の中に行く人の、今にも来ると待ちけるが、五分を過ぎ、十分を経て、なお書斎より来らざるにぞ、謙三郎はいかにせしと、心々に思える折から、寂として広き家の、遥奥の方よりおとずれきて、「ツウチャン、ツウチャン。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
「因縁果」の理法を明るく見るのも、暗く見るのも、これに関係する人々の心々によります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
家族一同が心々の祝いものを贈る場合とします。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
あゝ之れで安心々々、一同は帽を脱して大日本帝國の萬歳を三呼した。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
陽が傾いて樹明来、酒はのみたし酒はなし、学校の畜舎へまでのこ/\出かけて、かしわとさけとにありつく、そしてひとりでインチキカフヱーでホツトウイスキー一杯、泥まみれになつて戻る、いのちを持つて戻つたのはまことに感心々々。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫