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快味

かいみ
名詞
1
標準
pleasure
文例 · 用例
それは恰度、音楽に鈍感な女の人が、オーケストラを聴いてゐて、フリュートなぞが単独に吹奏される部分でだけ、音そのものの物理的な快味にだけ感じ入るのに似てゐて、私は明治以降の殆んど全ての文学者が、外国文学の作品を読む時も、そんなやうなものであつたと云つても、強ち過言とは思はないのである。
中原中也 撫でられた象 青空文庫
日本で富士山よりも高い火山を、欠損空線を継ぎ合せ、盛り上げることによって、創造してゆく快味は、八ヶ岳高原にたたずんで、始めて得られるのである。
小島烏水 不尽の高根 青空文庫
不幸にして、きょうは雨のために、この快味は総て失われた。
小島烏水 不尽の高根 青空文庫
掏摸が一度、豪勢な身なりをしている男の懐中物をくすねて鼻をあかしてやると、その快味が忘れられず、何回もそれを繰りかえし、かっぱらう。
黒島伝治 国境 青空文庫
責任を問われる心配がない××××と××は、兵士達にある野蛮な快味を与える。
黒島伝治 パルチザン・ウォルコフ 青空文庫
以前のニヒリスチックの気持の時は全く灰のように冷えてしまって、それは神経衰弱的な恐迫観念がときどき槍尖のように自分を襲って来たが、しかし、最後の落ち着きどころは空虚と見究めがついていたので、まだ自暴自棄の痛快味があった。
岡本かの子 宝永噴火 青空文庫
そして孤独にも孤独の痛快味がわれとわが空虚のうちを慰め潤おし、それが弾みとなって思索から思索へと累進するときに、層々の闇の中にときどき神秘なうす明りが待受けていて何か異香らしいものさえ鼻に薫じた。
岡本かの子 宝永噴火 青空文庫
単なる生理上の器械だとして、彼の肉体をある快味の放散にのみ使用することだけで、俺の満足が得らるべき筈ではないのである。
平出修 瘢痕 青空文庫