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熟田

じゅくでん
名詞
1
標準
文例 · 用例
額田王歌熟田津に船乘せむと月待てば潮もかなひぬ今はこぎいでな 伊豫の熟田津より西國に行幸ある時の歌なるべしと。
正岡子規 萬葉集を讀む 青空文庫
其頭を持つて居りながら、那須郡と云へば則ち栃木縣の中である、其から僅か數里隔つたる所の、而かも所有者のある所の田畑が、肥沃な天産に富んで居る熟田が、數年の間に惡るくなつて行く※が、目に入らぬと云ふはどうしたのである。
田中正造 亡國に至るを知らざれば之れ即ち亡國の儀に付質問 青空文庫
それはとにかく、税務署でさっそく議会の決議に応じたものと見え、この村の不毛地に対し、畦地は熟田の時価の半額見当に、畑ざかいの荒地は隣接の畑地の約半額と言ったふうに『査定』し、急遽払下げの通告を村役場へよこしたものである。
犬田卯 荒蕪地 青空文庫
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は榜ぎ出でな 〔巻一・八〕 額田王 斉明天皇が(斉明天皇七年正月)新羅を討ちたまわんとして、九州に行幸せられた途中、暫時伊豫の熟田津に御滞在になった(熟田津|石湯の行宮)。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
熟田津という港は現在何処かというに、松山市に近い三津浜だろうという説が有力であったが、今はもっと道後温泉に近い山寄りの地(御幸寺山附近)だろうということになっている。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
一首の意は、伊豫の熟田津で、御船が進発しようと、月を待っていると、いよいよ月も明月となり、潮も満ちて船出するのに都合好くなった。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
月と潮汐とには関係があって、日本近海では大体月が東天に上るころ潮が満始るから、この歌で月を待つというのはやがて満潮を待つということになる、また書紀の、「庚戌泊于伊豫熟田津石湯行宮」とある庚戌は十四日に当る。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫
また初句の「熟田津に」の「に」は、「に於て」の意味だが、橘守部は、「に向って」の意味に解したけれどもそれは誤であった。
斎藤茂吉 万葉秀歌 青空文庫