金員
きんいん
名詞
標準
(amount of) money
文例 · 用例
紹介者に連れて行って貰って、些少の束修――金員でも品物でもを献納して、そして叩頭して御願い申せば、直ちに其の日から生徒になれた訳で、例の世話焼をして呉れる先輩が宿所姓名を登門簿へ記入する、それで入学は済んだ訳なのです。
— 幸田露伴 『学生時代』 青空文庫
」 と樹島が手を挙げて、「夫人のお名は、金員の下でなく、並べてか、……上の方へ願います。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
二十九 それもしばらく、米屋町は米の上り下りで人間の相場が狂い、妾宅の主人は大失敗で、落魄して、最後に一旗という資本がないので、心まで淋しくなり、蝶吉の母に迫って、その落籍しただけの金員耳を揃えて返せという。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
修学のためにやがて独逸に赴かんとする脇屋欽之助は、叔母に今は世になき陸軍少将|松島主税の令夫人を持って、ここに擲って差支えのない金員あり。
— 泉鏡花 『註文帳』 青空文庫
あなた様は、先年八軒屋の宿屋にて、女乞食に金員を恵まれし事あるべし、その時の女乞食こそは私なれ、何の因縁にてか、再びかかる処にて御目にはかかりたるぞ、これも良人や小供の引き合せにて私の罪を悔いさせ、あなた様に先年の御礼を申し上げよとの事ならん。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫
あるいは俊夫君がある事件を解決して多額の報酬を貰うと、それを羨んで、金員を分与せよなどという虫のいい要求を致してきます。
— 小酒井不木 『深夜の電話』 青空文庫
それによると、S区B町の尼寺にその前夜強盗がはいって、尼さんの胸を短刀で刺し殺して金員を強奪して行ったのであるが、その尼さんの死体の臓器を二人の男が持って行ったのであって、何の目的であるのか判らないということでした。
— 小酒井不木 『稀有の犯罪』 青空文庫
銭がないと(それは多くの場合、ふしだらから来る、)心にもない不義理をする、すまないことが多い、今日も電燈料集金員さんに申訳けなかつた、すみませんすみません。
— 種田山頭火 『一草庵日記』 青空文庫