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ぬき
名詞
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標準
文例 · 用例
想像するがままに任せた山、感情を塗りかえした山、その山の暗き森と、深い谷、過去へと深く行き、遠く行くだけ、紀念は次第に成熟する、石の上を走っている水の面の経は、幾世の人の夢を描いては消し、消しては描いているのである。
小島烏水 梓川の上流 青空文庫
もっとも山の高低や、度の如何に随って雪の多少はあるが、高山の麓になると、一年中絶えず雪を仰ぎ視る事が出来る。
小島烏水 高山の雪 青空文庫
待ちに待った朝は来た、朝がいかなる方面から、いかに忍び足に寄って来て、一秒ずつ額を白くしたかは徹夜凝視しても解らない、夜と朝の筋目が判然と目立つほどなら、地球の度線が草鞋の爪先に引っかかるわけである、しかも争う可らざるは朝の神秘なり、一たび臨むとき、木偶には魂を、大理石には血を与る。
小島烏水 奥常念岳の絶巓に立つ記 青空文庫
ケースには、僕も、少し閉口して、持てあましの形だが、しかし、こんな経に依って、マア坊のよさを少しでも君にわかってもらいたくて、以上、御報告の一文をしたためた次第だ。
太宰治 パンドラの匣 青空文庫
しかるに、移転して三月目にその家が焼夷弾で丸焼けになったので、まちはずれの新柳町の或る家へ一時立ち退き、それからどうせ死ぬなら故郷で、という気持から子供二人を抱えて津軽の生家へ来たのであるが、来て二週目に、あの御放送があった、というのが、私のこれまでの浪々生活の、あらましの経である。
太宰治 十五年間 青空文庫
いちどお読みになっただけでは、見落し易い心理の経もあるように、思われるのだが、そんな、二度も三度も読むひまなんか無いよ、と言われると、それっきりである。
太宰治 新ハムレット 青空文庫
日頃、同僚から軽蔑され、親兄弟に心配を掛け、女房、恋人にまで信用されず、よろしい、それならば乃公も、奮発しよう、むかしバイロンという人は、一朝めざめたら其の名が世に高くなっていたとかいうではないか、やってみよう、というような経は、誰にだってあることで、極めて自然の人情である。
太宰治 困惑の弁 青空文庫
きのうも私は、阿佐ヶ谷へ出て酒を呑んだが、それには、こんな経が在るのだ。
太宰治 作家の像 青空文庫