田芹
たぜり
名詞
標準
文例 · 用例
土手には田芹、蕗が滿ちて、蒲公英はまだ盛りに、目に幻のあの白い小さな車が自動車の輪に競つて飛んだ。
— 泉鏡花 『遺稿』 青空文庫
土手には田芹、蕗が満ちて、蒲公英はまだ盛りに、目に幻のあの白い小さな車が自動車の輪に競って飛んだ。
— 遺稿 『遺稿』 青空文庫
…… 松杉、田芹、すつと伸びた酸模草の穂の、そよとも動かないのに、溝川を蔽ふ、たんぽゝの花、豆のつるの、忽ち一|所に、さら/\と動くのは、鮒、鰌には揺過ぎる、――昼の水鶏が通るのであらう。
— 泉鏡太郎 『続銀鼎』 青空文庫
彼は周章てて牧場の柵に添つて、田芹の生えた畔を通り、森の中へは入つてゐる路へ出た。
— 横光利一 『悲しみの代價』 青空文庫
田芹のおひたしに、大きな塗椀の中にはぷつぷつと泡立っているとろろ汁が入っていた。
— 矢田津世子 『茶粥の記』 青空文庫
鶏にやる田芹摘みにと来し我ぞ二月一日 在小諸。
— 高浜虚子 『六百句』 青空文庫
まだ菜の花も咲かず蝶々も出ないのですが、路傍の蓬や田芹が芽ぐんで、森の蔭、木立の中に、眞珠色の春霞が棚引いて、まだ陽炎は燃えませんが、早春の裝ひは申し分もありません。
— 江戸の夜光石 『錢形平次捕物控』 青空文庫