月界
げっかい
名詞
標準
文例 · 用例
月界の到着 雲井文彦の飛行船は、地球を出発してからもう一週間になる。
— 押川春浪 『月世界競争探検』 青空文庫
やがて船は次第に間近くなって、二人は無事に月界の上に下り立った。
— 押川春浪 『月世界競争探検』 青空文庫
月界の活劇 目指す秋山の姿はいずこと、四辺を見廻したがまだ出発した形跡はない。
— 押川春浪 『月世界競争探検』 青空文庫
文彦は悪人ながらも男爵の死を悼んで杉田とともに月界に手厚く葬り、その上に紀念碑を建てて其後一週間ばかりその地に止って、博士のやや元気を回復するを待ち、博士、東助、及び主人の死後改悛の意を表して服従した平三と各々二人ずつ二個の飛行船に分乗して地球に向って出発したのである。
— 押川春浪 『月世界競争探検』 青空文庫
昌黎植うる處、牡丹もと紫、今は白紅にして縁おの/\緑に、月界の採虹玲瓏として薫る。
— 泉鏡花 『花間文字』 青空文庫
裾を蹈んで頭を叩けば、ただこの一座山のごとき大奇巌は月界に飛ばんず形。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
川は三つの瀬を一つに、どんよりと落合つて、八葉潟の波は、なだらかながら、八つに打つ……星の洲を埋んだ銀河が流れて漂渺たる月界に入らんとする、恰も潟へ出口の処で、その一陣の風に、曇ると見る間に、群りかさなる黒雲は、さながら裾のなき滝の虚空に漲るかと怪まれ、暗雲忽ち陰惨として、灰に血を交ぜた雨が飛んだ。
— 泉鏡花 『光籃』 青空文庫
余はこの輪廓の眼に落ちた時、桂の都を逃れた月界の嫦娥が、彩虹の追手に取り囲まれて、しばらく躊躇する姿と眺めた。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫