絮
絮
名詞
標準
文例 · 用例
特に就中、身邊記事のくだらない出來事を、茶呑み婆さんの繰言みたいに、絮々細々と――文壇の術語で言へば克明に――書き立てた日本の文壇小説に至つては、義務にも讀めた次第でない。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の追憶』 青空文庫
その梢に、一面のほうけた絮が、風もないのに、氷でも解けるように、はらり、はらりと、落ち散るのであった。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
惜気の無い二の腕あたり、柳の絮の散るよと見えて、井戸縄が走ったと思うと、金盥へ入れた硯の上へ颯とかかる、水が紫に、墨が散った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
白々と露に輕く……柳の絮の散る風情。
— 泉鏡太郎 『淺茅生』 青空文庫
書中のおもむきは、過日|絮談の折にお話したごとく某々氏|等と瓢酒野蔬で春郊漫歩の半日を楽もうと好晴の日に出掛ける、貴居はすでに都外故その節お尋ねしてご誘引する、ご同行あるならかの物二三枚をお忘れないように、呵々、というまでであった。
— 幸田露伴 『野道』 青空文庫
之を熟讀し爛讀して服膺すれば、萬事おのづから足るのであつて、別に更に予の如きものの絮説を要せぬのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
」 此月蘭軒に柳絮の七絶五首がある。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
閑か曇り日のあるかないかのそよ風に、ほうつほうつと楊の絮が飛ぶわいの、かはせみの巣のあたりまで往たわいの、かはせみは居らなんだよ、ただ、いたちが疱瘡で寝てゐた。
— 北原白秋 『第二海豹と雲』 青空文庫