煽情的
せんじょうてき
名詞
標準
文例 · 用例
宮子は今、煽情的な音楽のリズムに合わせて、胸と腰をぐっと引き寄せられながら、二時間立てつづけに踊って来たばかしなのだ。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
二人はわざと隅の方へ、人ごみから離れて、ステップは余り踏まず、じっと頬をつけたまま、しずかに「クンパルシータ」のいかにもタンゴらしい煽情的なメロディーに酔い、感触に酔うていた。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
シングル(一人用)の寝台より少し幅があるように見えるだけで、ただ枕が二つ並んでいるのでダブル寝台といえるわけだ――その上に煽情的といっていいくらい派手な赤い模様の掛蒲団が、掛っている。
— 織田作之助 『夜光虫』 青空文庫
が、ことは秘められた閨房の行為だけに、これに触れること即ち低俗、猥雑、煽情的ということになり、結局口にすまじき問題として、片づけられてしまうのだが、思えば人生の普遍的問題なのだ。
— 織田作之助 『夜の構図』 青空文庫
赤い色電球の灯がマダムの薩摩上布の白を煽情的に染めていた。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
それというのも、そういう場合の彼女の媚態が、常よりも一層神経的でもあり煽情的でもあって、嫉妬と混ざり合った憎悪と愛着の念が、彼を一種の不健康な慾情に駆り立てたからで、お互いに肉情的な泥仕合いに爛れているのであった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
しかし、あの、七年前の煽情的な事件を思い出すと、投げようとする僕の中に、又、新な勇気が湧き起るのだったんだ。
— 佐左木俊郎 『殺人迷路』 青空文庫
が、はたして翌朝になると、あらゆる新聞はこの事件の報道で、でかでか一面を飾り立てて、日本空前の神秘的殺人事件と、すこぶる煽情的な筆法で書き立てるのだった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫