縡
縡
名詞
標準
文例 · 用例
お勢が、恨み深げな眼を、くわっと宙に※いて、床のうえで冷たく縡切れていたのである。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫
隠居一人が胸に秘めて、五十年来誰にも洩さなかった秘密が、ここに初めて露見したので、孫の隼人を初め江原も縡の不思議に驚いて、この上は唯|一図に嘘だとか馬鹿馬鹿しいとか云消して了う訳には往かぬ。
— 岡本綺堂 『お住の霊』 青空文庫
驚いて其の手足を検めると、既に数時間の前に縡切れたらしい、老人の肉も血も全く冷えていた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
その二、三日前に先生の処へ行てチャント様子を知て居るのに、急病とは何事であろうと、取るものも取敢えず即刻宅を駈出して、その時分には人力車も何もありはしないから、新銭座から下谷まで駈詰で緒方の内に飛込んだ所が、もう縡切れて仕舞た跡。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
寝室にはA老人が冷たくなって既に縡切れていた。
— 松本泰 『緑衣の女』 青空文庫
旦那様が縡切れておいでだ」扉を内側から開けて、下男たちがいった。
— 海野十三 『什器破壊業事件』 青空文庫
早速、かゝりつけの太田医学博士が駆けつけて来たが、死後既に十二時間位経過して、昨夜の十時前後にもう縡切れているので、いかんとも仕方がなかった。
— ――二川家殺人事件 『黄鳥の嘆き』 青空文庫
即座に縡切れたので、むろん、姓名も住所も分らなかった。
— ――二川家殺人事件 『黄鳥の嘆き』 青空文庫