黒砂
くろすな
名詞
標準
文例 · 用例
三合五勺を出外れると、定規でも当てがってブチきったように、森林が脚下に落ち込んで、眼の前には黒砂の焼山が大斜行する。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
雲は東から西へと引いたように取れると一天は石灰洞のような大口を開けて、見る見るうちに次第にひろがり、碧い初冬の冴え返った空が、冷たい鯖色をした湖水のようになって、金光ちらりと黒砂に燃え落ちる、黒砂の一線、天に向って走るところ、頂上火口の赭禿げた土は、火を翳したように眩ゆくなる。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
三合四合と登るほどに、黒砂は凝結したように、ポロポロと硬くなって、時に生れどころの解らない大霧が、斜面を這って、煙のように舞い立つこともあったが、五合へ来たときには、それも拭うように晴れて、北風が起り初めた、鳶が一羽、虚空に丸く輪を描いて山体の半分を悠揚と匝ぐって、黒い点となって、遥かに消え失せた。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
黒砂糖でもないかと聞いて歩いたが徒労であった。
— 寺田寅彦 『夏』 青空文庫
」「されば、」梟の大将はみんなの方に向いてまるで黒砂糖のような甘ったるい声でうたいました。
— 宮沢賢治 『かしわばやしの夜』 青空文庫
」「されば、」梟の大将はみんなの方に向いてまるで黒砂糖のやうな甘つたるい声でうたひました。
— 宮沢賢治 『かしはばやしの夜』 青空文庫
竹羊羹というのは青竹のひと節に黒砂糖入り水羊羹をつめて凝固させたものである。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
不完全なのは、我々の心掛が至らぬからの横着に起因するのだからして、もう少し修養して黒砂糖を白砂糖に精製するような具合に向上しなければならんという考で一生懸命に努力したのである。
— 夏目漱石 『文芸と道徳』 青空文庫