忤
忤
名詞
標準
文例 · 用例
「そんなことかも知れませんよ」と、半七老人は忤らわずにうなずいた。
— 帯取りの池 『半七捕物帳』 青空文庫
ところが信雄は此の国替を悦ばなくて、強いて秀吉の意に忤った。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
努力は其れと稍や違つた意味を有し、意志と感情とが相忤し戻つて居る場合でも、意識の火を燃え立たせて、感情の水に負けぬやうに爲し、そして熱して/\已まぬのを云ふのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
が、また心を取直して考えてみれば、故無くして文三を辱めたといい、母親に忤いながら、何時しかそのいうなりに成ったといい、それほどまで親かった昇と俄に疏々しくなったといい、――どうも常事でなくも思われる。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
否、おん身に忤ふには似たれど、己れなどはアヌンチヤタを得ば、名譽此上なしとおもへり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
その主人|稲垣清蔵は鳥羽稲垣家の重臣で、君を諌めて旨に忤い、遁れて商人となったのである。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
源吾は天保中津軽|信順がいまだ致仕せざる時、側用人を勤めていたが、旨に忤って永の暇になった。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
六月十六日に勝久が馬喰町の家元を訪うて、重ねて勝四郎のために請う所があったとき、勝三郎は涙を流して怒り、「小母さんはどこまでこの病人に忤う気ですか」といった。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫