牢舎
ろうしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
而して一旦別れ別れになつた私の最愛の女性が、その後曩の牢舎のくるしみから肺病といふ恐ろしい不治の病に罹つて、自暴自棄に身も霊も破りはてたのを見つけ出した時、私は飛んで行つて彼を救ひ出した。
— 東京景物詩改題に就て 『雪と花火余言』 青空文庫
その使の言語一向分らぬから、シャーこれを牢舎し、一婦をその妻として同棲せしめると子が出来た、その子七歳になり、海陸両世界の語を能くすから、これを通弁として、海王の使がシャーの前に出で、海王降参の表示として、何を陸王に献るべきやと問うと、百ガルヴァルだけ糧食を上れと答う。
— 田原藤太竜宮入りの話 『十二支考』 青空文庫
文政九年の十二月に、黒川村の百姓が牢舎御免ということで、美濃境まで追放を命ぜられたことがある。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
巨塔ハ即チ牢舎ニシテ、地下数丈階段ヲ下レバ、岩モテ畳メル密室アリ、王及ビ王妃ヲ幽閉セル処……」云々と。
— 国枝史郎 『赤格子九郎右衛門』 青空文庫
恐ろしき恋醒心何を見る我が目捕へん牢舎は無きや 恋の醒めた心で見直すと光景は全く一変するだらう。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
(四月五日) 故|陸奥宗光氏と同じ牢舎に居た人に、陸奥はどんな人か、と問ふたら、眼から鼻へ抜けるやうな男だ、といふ答であつた。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
」と、大いに逆鱗あつたによつて、あはれや「れぷろぼす」はその夜の内に、見るもいぶせい地の底の牢舎へ、禁獄せられる身の上となつた。
— 芥川龍之介 『きりしとほろ上人伝』 青空文庫
」とあつたれば、山男は今更ながら、滝のやうに涙を流いて、「それがしは、帝に背き奉つて、悪魔に仕へようずと申したれば、かやうに牢舎致されたのでおぢやる。
— 芥川龍之介 『きりしとほろ上人伝』 青空文庫