沢伝い
さわづたい
名詞
標準
文例 · 用例
元々村へ出るには、沢辺まで降りて、沢伝いに里へ下るのだから、俄雨で谷が急にいっぱいになったが最後、米など背負って帰れる訳のものでない。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
気が附いて沢伝いに歩き出したが、とうとう道に迷っちまったそうだ。
— 三好十郎 『おりき』 青空文庫
此東沢伝いに梓山へ出る旅行は、塩山を出発点としても全二日を要するに過ぎない道程であるが、少くとも四、五時間は河床を辿らなければならない為に、出水の恐ある時期には、能く天候を見定めてから決行しないと、文字通り進退|谷るの危険に遭遇しないとも限らぬ。
— 木暮理太郎 『笛吹川の上流(東沢と西沢)』 青空文庫
小さい沢を渡り、両面羊歯の繁りに茂った薄暗い森林の中を横さまに通り抜けて、沢伝いに下り着いた所は、仕合谷の落口より少し下流の河原であった。
— 木暮理太郎 『黒部川を遡る』 青空文庫
沢伝いに劒へ登る最も近い路は平蔵谷であろう。
— 木暮理太郎 『越中劒岳』 青空文庫
午前七時に北沢の野営地を出発し、沢伝いに仙水峠に出で、駒津岳を経て駒ヶ岳の頂上に達したのは十一時であった。
— 木暮理太郎 『朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅』 青空文庫
柴犬をさがしに山奥へ 藤岡から自動車で鬼石町に出て、これから神流川に沿って十石街道をのぼり、万場町を通って新羽で自動車を乗り捨て、それから村の自転車を借りて約十二キロ、坂下集落で自転車を預け、それから沢伝いにのぼること十キロ、ようやく中沢集落に着いて、喜六老人をたずねて一泊しました。
— 斎藤弘吉 『私の飼った犬』 青空文庫
だが半之助は、文造の禁じたほうの山へ、沢づたいに、はいって来たのであった。
— 山本周五郎 『山彦乙女』 青空文庫