引き留める
ひきとめる
動詞
標準
文例 · 用例
堀木によごされたツネ子は、自分とわかれなければならなくなるだろう、しかも自分にも、ツネ子を引き留める程のポジティヴな熱は無い、ああ、もう、これでおしまいなのだ、とツネ子の不幸に一瞬ハッとしたものの、すぐに自分は水のように素直にあきらめ、堀木とツネ子の顔を見較べ、にやにやと笑いました。
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
なんだか残り惜しそうに引き留める師匠をふり切って、彼は半※ほどの後にここを出た。
— 津の国屋 『半七捕物帳』 青空文庫
が彼の言葉を言い切るまでに已に彼の頭の何処かで、彼の此の考察を引き留めるものがあった。
— 岡本かの子 『決闘場』 青空文庫
女を行かせようとしてもまた引き留める源氏であった。
— 帚木 『源氏物語』 青空文庫
銀子はちらとそのことを思い出し、あながちにそのためとも言えなかったが、強いて加世子を引き留める気にもなれなかった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
若者は狂気のように両手を広げて船に駆け寄ろうとするのを、近所に居合わせた三四人の人があわてて引き留める、それをまたすり抜けようとして組み伏せられてしまった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
午後、誘はれて、出張する樹明君のお伴をして山口へ行く、ほどよく飲んで帰つて来たが、それからがいけなかつた、私は樹明君を引き留めることが出来なかつばかりではない、のこ/\跟いてまはつて、踏み入つてはならない場所へ踏み入つてしまつた!
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
ほかの事と違いますから、三津子さん夫婦も無理に引き留めるわけにもゆかないので、しきりに残念がりながら山の下まで送って来てくれました。
— 岡本綺堂 『探偵夜話』 青空文庫