徃
徃
名詞
標準
文例 · 用例
気になるから徃って見たが。
— 伊藤左千夫 『牛舎の日記』 青空文庫
世人はこれを、雀大臣と呼んで、この出世も、かれの徃年の雀に對する愛情の結實であるといふ工合ひに取沙汰したが、しかし、お爺さんは、そのやうなお世辭を聞く度毎に、幽かに苦笑して、「いや、女房のおかげです。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
旅亭の禿頭に教へられた樣に、人馬の徃來繁き街道を西へ/\と凡そ四五|町、唯ある十字街を左へ曲つて、三|軒目の立派な煉瓦造りの一構、門に |T. Hamashima, と記してあるのは此處と案内を乞ふと、直ぐ見晴しのよい一室に通されて、待つ程もなく靴音高く入つて來たのはまさしく濱島!
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
段が右徃左徃している。
— 幸田露伴 『観画談』 青空文庫
首を回らせば徃時をかしや、世の春秋に交はりて花には喜び月には悲み、由無き七情の徃来に泣きみ笑ひみ過ごしゝが、思ひたちぬる墨染の衣を纏ひしより今は既、指をの霊地に運びて寺に霜は募りて樹※に紅は増す神無月の空のやゝ寒く、夕日力無く舂きて、晩れし百舌の声のみ残る、暮方のあはれさの身に浸むことかな。
— 幸田露伴 『二日物語』 青空文庫
「爾欲完全、徃售所有、以濟貧、則必有財於天、且來從我。
— 森鴎外 『古い手帳から』 青空文庫
博士は交際嫌、宴會嫌、藝妓嫌であるので、大祭日や日曜日には、上方風に辨當を拵へさせて、母君を連れて、道灌山へ徃つて、茶店の腰掛で辨當を開いて、自分は持つて來た西洋の詩集か何かを讀んで日を暮すことがあつたが、ある日新夫人をも此遊に誘ひ出した。
— 森鴎外 『半日』 青空文庫
さて歸つて差向ひになつた時、新夫人が、「どうもあなたのおかあ樣と一しよに徃くのは嫌ですから、どうぞわたしに嫌な事をさせないやうにして下さい」と云つた。
— 森鴎外 『半日』 青空文庫