跡形もなく
あとかたもなく
表現副詞
標準
without leaving any trace
文例 · 用例
直線から成る割菱模様が曲線化して花菱模様に変ずるとき、模様は「派手」にはなるが「いき」は跡形もなくなる。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
われわれの教えられている孝という思想は跡形もなく破壊せられてしまっています。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『家常茶飯』 青空文庫
そうした詩が数千年そのままに伝わって来ていたのがわずかにこの数十年の間に跡形もなく消えてしまうのではないかと疑われる。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
清逸の心にある未練を残しつつその万花鏡のような花は跡形もなく消え失せた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
ある時には寒色の雲が跡形もなく隱れてしまつて、太陽がきら/\と半日を照り續ける事がある。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
人間が万物の霊長だなんて威張っていても、たかだか七、八十年経てば、すっかり跡形もなくなってしまうのでしょうか。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
私は恥かしくて、顔の上に火が走り、それがちらちら心を焼いて、己惚れも自信もすっかり跡形もなくなってしまった。
— 織田作之助 『天衣無縫』 青空文庫
四 雁次郎横丁――今はもう跡形もなく焼けてしまっているが、そしてそれだけに一層愛惜を感じ詳しく書きたい気もするのだが、雁次郎横丁は千日前の歌舞伎座の南横を西へはいった五六軒目の南側にある玉突屋の横をはいった細長い路地である。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
作例 · 標準
「さっきまでテーブルにあったケーキ、もう跡形もないんだけど、誰か食べた?」
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「彼が残したはずの機密データは、何者かの手によってサーバー上から跡形もなく消去されていたんだ。」
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「あんなに頑丈そうだった石造りの橋が、昨晩の濁流で跡形もなく押し流されるなんて信じられないよ。」
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「ずっと胸の奥につかえていた漠然とした不安も、先生のその力強い一言で跡形もなく消え去りました。」
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