没常
ぼつつね
名詞
標準
文例 · 用例
これは一見没常識のように見えるかもしれぬが、そこに津田君の出発点の特徴が最も明白に現われているのである。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
――深更に無理を言ってお酌をしてもらうのさえ、間違っている処へ、こんな馬鹿な、無法な、没常識な、お願いと言っちゃあないけれど、頼むから、後生だから、お澄さん、姐さんの力で、私が居る……この朝だけ、その鷭|撃を留めさしてはもらえないだろうか。
— 泉鏡花 『鷭狩』 青空文庫
出没常ならず、どこに潜んでいるか判らないが、暗闇で出逢うと人を突き仆すのである。
— 閲微草堂筆記(清) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
その上、姉妹の母が、生活に対しては、ひどく没常識であった。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
然るに今の世の所謂基督教会なるものを見るに、朝に入りたるもの夕に出で、出没常なく、去就定まりなし、その入るや入るべからざるに入り、其出づるや出づべからざるに出づ、何ぞ自らの心宮を軽んずるの甚しき。
— 北村透谷 『各人心宮内の秘宮』 青空文庫
お前は感心じゃが、お前の部下は実に没常識ぞろいじゃぞ。
— 海野十三 『蠅男』 青空文庫
けれども、伸子にして見れば、母が、娘の周囲に現れる男と云えば、きっと悪党ででもあるかのように、没常識な警戒心を抱くのが恐ろしかった。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
今日われわれの世の中に行われている裁判がとかく人情に適しないとか、人間味を欠いているとか、または裁判官が没常識だとか、化石しているとかいうような小言を耳にするたびに、われわれは大岡裁判を思い起こします。
— 末弘厳太郎 『嘘の効用』 青空文庫