清寂
せいじゃく
名詞
標準
文例 · 用例
色里の色の中とは思えぬ清寂な一とき。
— 岡本かの子 『茶屋知らず物語』 青空文庫
氏郷と仲の好かった細川忠興は、茶庭の路次の植込に槙の樹などは面白いが、まだ立派すぎる、と云ったという程に侘の趣味に徹した人だが、氏郷も幽閑清寂の茶旨には十分に徹した人であった。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
しかし保胤は夙くより人間の紛紜にのみ心は傾かないで、当時の風とは言え、出世間の清寂の思に※が染みていたので、親王の御為に講ずべきことは講じ、訓えまいらすべきことは訓えまいらせても、其事一わたり済むと、おのれはおのれで、眼を少し瞑ったようにし、口の中でかすかに何か念ずるようにしていたという。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
定石” たくあん破れて縫うてあるもの閑古鳥よ啼け古雑誌を読みつゝ水声山色老人――“得何和”“一人を楽しむ”旅していると、一期一会をしみ/″\感じる、山を歩いてゐると和敬清寂を考へる。
— 昭和十四年 『旅日記』 青空文庫
和敬清寂のこころ 右の話は、岡倉天心の書いた『|茶の本』にも出ておりますが、「清潔」「清寂」を尊ぶ茶人の心にも、まことにこうした味わうべき世界があるのです。
— 高神覚昇 『般若心経講義』 青空文庫
(七)僧院は一種清寂の境である。
— 市島春城 『読書八境』 青空文庫
時雨の降る夕落葉の道を過ぎて独り家に帰り、戸口に立ってつぼめる雨傘の上に落葉の二三片止まりたるを見る時の心は清寂の限りである。
— 永井荷風 『写況雑記』 青空文庫
ここでは、茶の「寸法」も「清寂」も措いて、客亭主、わけ隔てないくつろぎだけに、話も自然|多岐にわたった。
— 第七分冊 『新書太閤記』 青空文庫