小萩
こはぎ
名詞
標準
文例 · 用例
雛妓は席へつくと、お土産といって折箱入りの新橋小萩堂の粟餅を差し出した。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
空よく晴れて朝風やゝ肌寒く露の小萩のみだれを吹いて葉鶏頭の色鮮やかに穂先おおかた黄ばみたる田面を見渡す。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
宮城野の露吹き結ぶ風の音に小萩が上を思ひこそやれ という御歌もあったが、未亡人はわき出す涙が妨げて明らかには拝見することができなかった。
— 桐壺 『源氏物語』 青空文庫
荒き風防ぎし蔭の枯れしより小萩が上ぞしづ心無き というような、歌の価値の疑わしいようなものも書かれてあるが、悲しみのために落ち着かない心で詠んでいるのであるからと寛大に御覧になった。
— 桐壺 『源氏物語』 青空文庫
南の御殿のほうも前の庭を修理させた直後であったから、この野分にもとあらの小萩が奔放に枝を振り乱すのを傍観しているよりほかはなかった。
— 野分 『源氏物語』 青空文庫
牡鹿鳴く秋の山里いかならん小萩が露のかかる夕暮れこうした空模様の日に、恋する人はどんなに寂しい気持ちになっているかを思いやってくださらないのは冷淡にすぎます。
— 椎が本 『源氏物語』 青空文庫
これは伊勢の小萩といって、二見が浦から買われて来た女子である。
— 森鴎外 『山椒大夫』 青空文庫
それを夜になると伊勢の小萩が来て、手伝ったり教えたりする。
— 森鴎外 『山椒大夫』 青空文庫