温
ぬく
名詞頻度ランク #10248 · 青空 789 例
標準
idiot
文例 · 用例
駅長宮沢賢治ことことと行く汽車のはて温石いしの萱山の上にひとつの松ありてあるいは雷にうたれしや三角標にまがへりと大上段に真鍮の棒をかざしてさまよへりごみのごとくにあきつとぶ高圧線のま下にて秋をさびしき白服の酒くせあしき土木技手いましも汽車を避け了へてこなたへ来るといまははた急ぎガラスを入りにけり
— 宮沢賢治 『駅長』 青空文庫
それどころか子供に関する温しきに過ぎる若干の詩篇なぞは、愚弄さへされたのであつた。
— 中原中也 『デボルド―※ルモオル』 青空文庫
それが仮りに私の気温のせゐだとしても、何のせゐだとしても、この好い気持はこの好い気持であつて、これを努力して造型してお目に懸けることくらゐは出来るとしても極めて可及的可能なことでしかない。
— 中原中也 『深夜の峠にて』 青空文庫
又、仮りに、三造が、自身の意志と世間の誘惑とを、半々に受容れながら、理窟上言へば、微温い、歴史的に言へば不思議な一個の結成物たる、役柄をみせて死んでゆくかもしれぬといふことは十分に推量出来ることである。
— 中原中也 『青年青木三造』 青空文庫
三造はその温しさのために、馬鹿共が気にとめぬ謎である。
— 中原中也 『青年青木三造』 青空文庫
やがて最初に目に入つた玉屋に這入ると、部屋は明るくガランとしてゐて、温室のやうだつた、客の腰掛場になつてゐる、畳二枚を縦に並べた場所の、その中程に置かれた火鉢には其処の主人が如何にも睡げによつかゝつてをり、お主婦さんも割烹着を着たまゝ火鉢で手をぬくめてゐた。
— 中原中也 『西部通信』 青空文庫
14 この會見の後、私は直ちに伊豆の温泉へ旅行した。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
野も山も新緑で、はだかになってしまいたいほど温く、私には、新緑がまぶしく、眼にちかちか痛くって、ひとり、いろいろ考えごとをしながら帯の間に片手をそっと差しいれ、うなだれて野道を歩き、考えること、考えること、みんな苦しいことばかりで息ができなくなるくらい、私は、身悶えしながら歩きました。
— 太宰治 『葉桜と魔笛』 青空文庫