梅が枝
うめがえ
名詞
標準
文例 · 用例
弁の少将が拍子を取って、美しい声で梅が枝を歌い出した。
— 梅が枝 『源氏物語』 青空文庫
私にはよく勝手がわかっていないから」 と言って、蔵人少将とつれだって西の渡殿の前の紅梅の木のあたりを歩きながら、催馬楽の「梅が枝」を歌って行く時に、薫の侍従から放散する香は梅の花の香以上にさっと内へにおってはいったために、家の人は妻戸を押しあけて和琴を歌に合わせて弾きだした。
— 竹河 『源氏物語』 青空文庫
呂の声の歌に対しては女の琴では合わせうるものでないのに、自信のある弾き手だと思った薫は、少将といっしょにもう一度「梅が枝」を繰り返した。
— 竹河 『源氏物語』 青空文庫
この侍従が正月に「梅が枝」を歌いながら訪ねて行った時に、合わせて和琴を弾いた中将の君も常にそのお役を命ぜられていた。
— 竹河 『源氏物語』 青空文庫
この季節によくかなった音楽の感じは皆よくて、兵部卿の宮の御美声は人に深い感銘をお与えになるものであって、曲は梅が枝を歌われたのである。
— 浮舟 『源氏物語』 青空文庫
されば火を見ては熱を思い、水を見ては冷を思い、梅が枝に囀ずる鶯の声を聞ときは長閑になり、秋の葉末に集く虫の音を聞ときは哀を催す。
— 二葉亭四迷 『小説総論』 青空文庫
あなあはれ岡の鉾杉、をちこちの小竹のむら笹、柿もみぢ、梅が枝の蔦、とりどりに色に出づれど、神無月すゑの時雨に濡れ濡れて、その葉枯れず、落葉せず、透かず、薄れず、ただ上べわづか赭みて天鵞絨の焦茶いろすれ、深ぶかと黒くか青く、常久に古び鎮もる。
— 北原白秋 『観相の秋』 青空文庫
あなあはれ、岡の鉾杉、をちこちの小竹のむら笹、柿もみぢ、梅が枝の蔦、とりどりに色に出づれど、神無月すゑの時雨に濡れ濡れてその葉枯れず、落葉せず、透かず、薄れず、ただ上べわづか赭みて天鵞絨の焦茶いろすれ、深ぶかと黒くか青く、常久に古び鎮もる。
— ――長歌体詩篇二十一―― 『観想の時』 青空文庫