癇癪玉
かんしゃくだま
名詞
標準
文例 · 用例
中尉は、癇癪玉をちく/\刺戟された。
— 黒島傳治 『氷河』 青空文庫
で、「うるさいのね、何て真似をするの、男らしくもない」 ときめつけてやりますと、自分でも持てあぐねていた癇癪玉の投げつけ相手を直ぐ眼の前に見付けたように得たりや応と、葛岡は鎌首を擡げて来まして、「男らしくないとは何だ」 と言います。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
それでは一円五十銭ずつ遣ろう」といっても、彼等はいつまでも煮え切らずブツブツいっているので、髯将軍の癇癪玉が忽ち破裂して大喝一声、「黙れッ!
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
父は黙ってまじまじと癇癪玉を一時に敲きつけたような言葉を聞いていたが、父にしては存外穏やかななだめるような調子になっていた。
— 有島武郎 『親子』 青空文庫
知ってるか、「癇癪玉」ってんだ綽名が――知ってるか彼奴を。
— 有島武郎 『かんかん虫』 青空文庫
自分は俯向きながら、今に兄の拳が帽子の上へ飛んで来るか、または彼の平手が頬のあたりでピシャリと鳴るかと思って、じっと癇癪玉の破裂するのを期待していた。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫
奥歯で囓み潰した癇癪玉が炎となって鼻の穴から抜けるので、小鼻が、いちじるしく怒って見える。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
泡鳴と王堂9・1(夕) 岩野泡鳴氏は厭になつて自分が捨てて逃げた清子夫人と哲学者の田中王堂氏とが怪しいといつて、態々探偵までつけて二人の行動を気をつけてゐたが、とうと辛抱出来ぬ節があつたと見えて、持前の癇癪玉を破裂させた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫