惻
惻
名詞
標準
文例 · 用例
その辞|惻々読む者の心をうたねばやまぬ。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
惻隠の心は、どんな人にもあるというじゃありませんか。
— ――新曲聊斎志異―― 『竹青』 青空文庫
古今東西を通じて、かかるみじめなる経験に逢いし武芸者は、おそらくは一人もあるまじと思えば、なおのこと悲しく相成候て、なにしろあれは三百円、などと低俗の老いの愚痴もつい出て、落花繽紛たる暗闇の底をひとり這い廻る光景に接しては、わが敵手もさすがに惻隠の心を起し給いし様子に御座候。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
白糸は生まれてより、いまだかかる最期の愴惻を見ざりしなり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
妻に侮辱と嘲笑とに価する特色を発見出来るようになって始めて惻々たる憐れみと愛とが蘇るというのだ。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
女性には柔軟な優しみ、惻々たる慈悲心、風雅な淑かさ、繊細な可憐さなどの情緒が蓄積されて来ます。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
「コラッ、貴様ッ、ろくろく働きもせぬくせに、生血のような水を唯飲みしようとは、怪しからん奴だ」と呶鳴り付けたが、考えてみればあれも人の子、咽の渇くのは同じだろうと惻隠の心も起り、「皆飲むなよ」と、長い竹筒の水を渡してやれば、先生竹筒に口を当てるが早いか、逆様にして皆ゴボゴボと飲んでしまった。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
惻隠の情もじかに胸に落ちこむのだ。
— 織田作之助 『馬地獄』 青空文庫