結綿
ゆいわた
名詞
標準
文例 · 用例
」 時に敷居の外の、その長六畳の、成りたけ暗そうな壁の処へ、紅入友染の薄いお太鼓を押着けて、小さくなったが、顔の明い、眉の判然した、ふっくり結綿に緋の角絞りで、柄も中形も大きいが、お三輪といって今年が七、年よりはまだ仇気ない、このお才の娘分。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
「ちょっと、」……と手繰って言ったと思うと、結綿がもう階下へ。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
お三輪は気軽に衝と立って、襟脚を白々と、結綿の赤い手絡を障子の桟へ浮出したように窓を覗いた。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
気のせいか、沈んで、悄れて見える処へ、打撞かったその冷い紋着で、水際の立ったのが、薄りと一人浮出したのであるから、今その呼懸けたお三輪さえ、声に応じて、結綿の綺麗な姿が、可恐そうな、可憐な風情で、並んでそこへ、呼出されたように、座上の胸に描かれた。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
ト長火鉢のさしの向いに、結綿と円髷が、ぽっと映って、火箸が、よろよろとして、鉄瓶がぽっかり大きい。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
お三輪の影が、火鉢を越して、震えながら、結綿が円髷に附着いて、耳の傍で、(お組さん、どこのか、お婆さんは、内へ入って来なくッて?
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
そのまま海の底へお引取りになって、現に、姉上の宮殿に、今も十七で、紅の珊瑚の中に、結綿の花を咲かせているのではないか。
— 泉鏡花 『海神別荘』 青空文庫
両側をきれいな細流が走って、背戸、籬の日向に、若木の藤が、結綿の切をうつむけたように優しく咲き、屋根に蔭つくる樹の下に、山吹が浅く水に笑う……家ごとに申合せたようである。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
ウィキペディア
結綿(ゆいわた)は、日本髪の島田髷の一種。江戸時代後期からの髪形で、つぶし島田の髷の部分に髷かけとして緋色の鹿の子絞りの縮緬をかけたもの。名前は真綿を束ねたもの(結綿)に似ることに由来する。主に未婚の若い女性が結う。別表記:結い綿、結ひ綿、ゆひ綿。
出典: 結綿 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0