柑子
こうじ
名詞
標準
文例 · 用例
ずっと前の話であるが、『藪柑子集』中の「嵐」という小品の中に、港内に碇泊している船の帆柱に青い火が灯っているという意味のことを書いてあるのに対して、船舶の燈火に関する取締規則を詳しく調べた結果、本文のごとき場合は有り得ないという結論に達したから訂正したらいいだろうと云ってよこした人があった。
— 寺田寅彦 『随筆難』 青空文庫
あとの大戸を、金の額ぶちのように背負って、揚々として大得意の体で、紅閨のあとを一散歩、贅を遣る黒外套が、悠然と、柳を眺め、池を覗き、火の見を仰いで、移香を惜気なく、酔ざましに、月の景色を見る状の、その行く処には、返咲の、桜が咲き、柑子も色づく。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
子供のふだんには、大抵柑子なり。
— 泉鏡花 『寸情風土記』 青空文庫
杉の根方には藪柑子、匂ひのないのぎ蘭、すぎごけ、……數々の矮小な自然が生えてゐた。
— 梶井基次郎 『闇への書』 青空文庫
南国の甘い夏を包んでいるような柑子が好い。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『家常茶飯』 青空文庫
それでは花と柑子ですね。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『家常茶飯』 青空文庫
それでは花と柑子とを持って参りますよ。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『家常茶飯』 青空文庫
娘は片手に伊太利亜種の赤き翁草の花の大束を持ち、片手に柑子を盛りたる籠を持ちいる。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『家常茶飯』 青空文庫