狒
狒
名詞
標準
文例 · 用例
岩見武勇伝に出て来る鎮守の神――その正体は狒々である――の生贄として、白羽の矢を立てられはせぬかと、戦々|兢々たる娘、及び娘を持てる親たちのような恐れと、哀れとを、水夫たちは一様に感じた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
古今共に狒々が、出るためには、夜を選ぶのであった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
この市に集うもの、すべて、むさぼりくらうこと豚のごとく、さかんなること狒狒のごとく、凡そわれに益するところあらむと願望するの情、この市に住むものたちより強きはない。
— ――当りまえのことを当りまえに語る。 『もの思う葦』 青空文庫
山猫か、狒々か、狐か、何だ!
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
世に獅子が猛烈だの、狼が兇惡だのといつて、此猛狒ほど恐ろしい動物はまたとあるまい、動物園の鐵の檻の中に居る姿でも、一見して戰慄する程の兇相、それが此深林の中で襲來したのだから堪らない。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
私はハツト思つて一時は遁出さうとしたが、今更遁げたとて何の甲斐があらう、もう絶體絶命と覺悟した時、猛狒はすでに目前に切迫した。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
私は日出雄少年を背部に庇護つて、キツと猛狒の瞳孔を睨んだ。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
つゞいて又一發、猛狒は思ひがけなき二發の彈丸に射られて、蹴鞠のやうに跳上つた。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫