絵団
えだん
名詞
標準
文例 · 用例
直ぐそこにあった絵団扇を執って、けろりとして二人に風を送りにかかった。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
出る杭を打たうとしたりや柳かな酒を煮る家の女房ちょとほれた絵団扇のそれも清十郎にお夏かな蚊帳の内に螢放してアヽ楽や杜若べたりと鳶のたれてける薬喰隣の亭主箸持参化さうな傘かす寺の時雨かな 後世|一茶の俗語を用いたる、あるいはこれらの句より胚胎し来たれるにはあらざるか。
— 正岡子規 『俳人蕪村』 青空文庫
けだし一茶の作|時に名句なきにはあらざるも、全体を通じて言えば句法において蕪村の「酒を煮る」「絵団扇」のごときしまりなく、意匠において「杜若」「時雨」のごとき趣味を欠きたり。
— 正岡子規 『俳人蕪村』 青空文庫
けだし一茶の作時に名句なきにはあらざるも、全体を通じて言へば句法において蕪村の「酒を煮る」「絵団扇」の如きしまりなく、意匠において「杜若」「時雨」の如き趣味を欠きたり。
— 正岡子規 『俳人蕪村』 青空文庫
虫籠、絵団扇、蚊帳、青簾、風鈴、葭簀、燈籠、盆景のような洒々たる器物や装飾品が何処の国に見られよう。
— 永井荷風 『夏の町』 青空文庫
そして久し振りの挨拶が一通りすむと、絵団扇で襲いかかる蚊を追い払いながら、「明るいうちに着きたいと思いましたが、汽車の時間をすっかり間違ってしまったので、それで………」こう云った。
— 相馬泰三 『田舎医師の子』 青空文庫
ある日の晝食の際に、私は弟や友人たちといつしよに食卓へ向つてゐたが、その傍でみよが、紅い猿の面の繪團扇でぱさぱさと私たちをあふぎながら給仕してゐた。
— 太宰治 『思ひ出』 青空文庫
閨の紅麻艷にして、繪團扇の仲立に、蚊帳を厭ふ黒髮と、峻嶺の白雪と、人の思は孰ぞや。
— 泉鏡太郎 『五月より』 青空文庫