止み
やみ
名詞
標準
文例 · 用例
第四章 抽象観念と具象観念1 前章に述べた如く、主観主義の芸術は「観照」でなく、現実の充たされない世界に於て自我の欲情する観念(理念)を掲げ、それへの止みがたい思慕からして、訴え、歎き、哀しみ、怒り、叫ぶところの芸術である。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
その宗教情操の本質とは、時空を通じて永遠に実在するところの、或るメタフィジカルのものに対する渇仰で、霊魂の故郷に向えるのすたるじや、思慕の止みがたい訴えである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
然るに懐疑するということは、既に有する信仰を失うことから、別の新しき信仰を求めようとするところの、人間性の止みがたき熱望に動機するのである故に、西洋文明に於ける客観的精神の本質は、本来「主観への逆説」であり、詩を否定しようとするところの、別の詩的精神の反動に外ならない。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
一方に於て、彼はその風流哲學を徹底させ、身を以て藝術を完成させようとする芭蕉的人生觀を持しながら、一方に於ては之れに裏切り、憤激して一切を破壞しようとする所の、矛盾の止みがたい苦惱があつた。
— 萩原朔太郎 『室生犀星君の飛躍』 青空文庫
私たちは、森の下蔭に身を潜めて、小止みを待っている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
帰りがけに、雨も小止みになったので、自動車で韮崎の町を突き切り、釜無川の東岸に沿うて、露出しているところの七里岩を、向う岸の美しい赤松の林から眺めた。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
夏期の降霜はまったく止みました。
— 信仰と樹木とをもって国を救いし話 『デンマルク国の話』 青空文庫
村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。
— 太宰治 『走れメロス』 青空文庫