惨忍
ざんにん
名詞
標準
文例 · 用例
彼はもし、高等海員になってやや多い収入を得ないならば、山陰道の山中で、冷酷な自然と、惨忍なる搾取との迫害から、その僻村全体が寒さのために凍死し、飢餓のために餓死しなければならないのであった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
そうして、惨忍な掠奪の分け前として、グラニッチ老人がくれる一時間四|仙の増給を受け取ってもいいものであろうか。
— 黒島伝治 『反戦文学論』 青空文庫
墓場を発いて屍体を嗜む変質者のやうな惨忍なよろこびを俺は味はつた。
— 梶井基次郎 『桜の樹の下には』 青空文庫
夫人の顔には惨忍な好奇心がうねった。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
新吉のもはや何を想い、何に心をひかれる弾力も無くなって見える様子にベッシェール夫人は惨忍な興味を増した。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
あなた方は生れて間も無い頃でしたから御記憶がないでしょうが、あなたのお母様や私共は本当に戦争の惨忍さを、まざまざ味わわされたのです。
— 岡本かの子 『母と娘』 青空文庫
少くとも今の裁判官のするやうな、疑はしいものは之を罰すると云ふ、惨忍酷薄な認定がなくなる丈でも、人民は幸福を享ける訳だ。
— 平出修 『畜生道』 青空文庫
――私はその家からかなり離れていたので、その顔をはっきり見定めることは出来ませんでしたけれど、何かこう気持ちの悪い惨忍そうな所がありました、それが私の受けた印象でした。
— THE YELLOW FACE 『黄色な顔』 青空文庫